卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(8)より
第八弾 福井弁
翻訳:あきちゃん
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その習わしについてさぁ、行事とか旅行ん時にぃ何か問題があるとの、骨を焼いて占って、良いか悪いか決めるんやってのぉ。
まずは占う事が何かを言って、中国で亀の甲羅を使って占うみたいにさぁ、火で出来る割れ目を見てその結果を知るんやわ。
その集会での立ち振る舞いではの、父子とか男女の区別は無いんやって。
やで、人の性分のお酒を楽しむんやわ。
ほやけど、えらい人見ると敬意を表すでさぁ、ただ拍手してひざまづくんやって。
そこの人は長生きやでの、100歳とか80歳〜90歳いってるわ。
その風習やと国の大人はみんな4〜5人奥さんがいてさぁ、えらくない人でも2〜3人は奥さんがいるんやわ。
女性はのイヤラシイとこが無くてさぁ、やきもちも焼かんのやと。
やでぇ、盗難は無いし、ケンカも少ないんやと。
でもの、そのルール破るとの、軽くても奥さんと子供取られるし、重いとぉその家ごとダメにされるんやわ。
それが、親族にまで行く事もあるんやってさ。
偉いかどうかとか、順番とかがあって、上の人のいう事聞いて成り立ってるんやわ。
つづく
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ある日、購買で粘土を買っていたあきちゃん。
「なに作るの?」
「今度授業で使うでなぁ、買っていかなあかんのよ」
「…?数学科って何やってるの?」
「紐ほどいたりもしてるよ」
「???」
こちらも合気道部で大変お世話になった方。ゆるっとした会話の楽しめる友だちです。
4年ほど前、心がとても荒んだ時に遊びに行ったことがありました。オカアがせっせとご飯とお酒を用意してくれて、こたつで久々に晩酌しました。ご実家には立派な仏間と仏壇があり、敷地内に先祖代々のお墓もあります。
あきちゃんの福井弁は「やでぇえ」「さぁあ」という抑揚が素敵です。朝倉氏の居館跡には桜が咲いていました。そんな優しい景色とともに聞こえてくる福井弁、惚れ直しました。
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(9)より
第九弾 播州弁 加古川風味
翻訳:Nozaki
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租税ゆうもんを保管する倉庫があんねんて。
それぞれの国にはなぁ、市場があってな、みんな自分の持っとうもんを持ってへんもんに交換しとうねん。
大倭っちゅう監視する役目ん人にこれを監視させとってやで。
女王さんがおっての国よりも北側んとこは、特別に一大率(いちだいそつ)っちゅう役人さんを置いてな、検察しとんねん。
ぎょうさんの国がこんことをおっとろしく思って、めちゃ気ぃ使っとってやで。
いっつも伊都国を治めとって、これがな、魏っちゅう国の中におっての刺史(監察官)さんみたいやねん。
王さんはお使いの人をやって、魏の都の洛陽やら帯方郡やら、諸韓国やらによこしよってやさけ、うっとこも(帯方)郡の使いを倭国にやることになってん。
一大率はみんな、港んところで、郡のお使いの人に露払いっちゅう道案内やら検査やらをすんねんて。
ほんで報告の文書を作って、女王さんにこれを送って伝えてな、下賜されるもんが女王さんとこに届くまでに、誰かがちょろまかしたりせんようにしとってやで。
身分の低いもんは下戸ってゆうねんけど、身分の高い大人に道端でおうたら、あとずさりして草むらまで入らなあかんねんて。
なんか言いたいことがあったら、しゃがんだりひざまづいたりして両手を地面につけて、まぁ土下座みたいなもんやな。ほんで尊敬してますって気持ちを見せとうねん。
返事ん時はな「噫(あい)」って言っとるさけ、たぶん他んときに聞く言葉とおんなしやし承諾の意味やと思うわ。
つづく
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冬になると、次期主将を決定する会議が開催されます。
数えきれないほどのビールジョッキが行ったり来たり。
他の部活を知らないので比較はできませんが、合気道部の主将はけっこう、相当、めちゃくちゃ、エゲツない、ホンマに、大変な役目です。
結局別の子になりましたが、私は野嵜押しでした!
剣道経験があり礼儀正しく、返事もお元気、異文化に対してもタフ、兼ね備えた鈍感力…そして下駄がお似合い。
80年前の奈良女にもいそうな雰囲気なんです、彼女は。
最近は異国の地で元気に子育てしているようです。
遠くからわざわざ翻訳ありがとうございました!
因みに我が家は冷え性なので下駄とは縁遠いですが、そのかわり手放せないのが靴下です。
写真はうちのオカンが取り寄せた古墳ソックス。
小西通りの靴下屋さん、懐かしいですな。
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(7)より
第7弾 紀州弁
翻訳:ちひろちゃん
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行き来について話すわ。
海を渡って中国に行く時は、いつもある一人に髪はぐちゃぐちゃのまま、シラミもとらんくて、服はアカまみれで汚いままやし、肉も食べれん、女性も近づけんくて、まるで喪中みたいにしやすんやって。
これを持衰というんやって。
もし航行が順調やったら、皆と同じ様に奴隷とご褒美の物をあげるらしいんや。
やけど、もし病人が出たり、暴風雨の被害に遭ったら、すぐ持衰を殺すんやって。
その持衰が禁止されてることを守らんかったからやと思うからなんやって。
倭では真珠とヒスイがとれるし、山には朱丹があるんやって。
木には、クスノキ・コナラ・タブノキ・ボケ・クヌギ・カシノキ・クワ・カエデがあるし、竹にはシノ・ヤタケ・カズラがあるんやって。
ショウガ・タチバナ・サンショウ・ミョウガがあるんやけど、美味しい味つけに使うものやと知らんかったみたい。
サル・キジもおるらしいんやってさ。
つづく
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三重県は、熊野の麓、まっすぐな海岸に野生のニワトリがたわむれ、お兄ちゃんが作ったピザ窯は焼却炉になり、お母さんは婦人会で大正琴をツンツラツン。
可愛がられて素直にすくすくと育ったいい子なんです。
文学部、合気道部、古美術研究会…四六時中いっしょに過ごしておりました。
実家に遊びに行った時には、日本昔ばなしで見たような「里山」の景色に驚きました。
「大自然」とは違うのです。
人の暮らしと自然が共存しているような、懐かしい所。
そんな所で育った彼女は、さすが、花の名前や樹木、野菜など、私が知らないものをたくさん知っていました。
地下鉄に揺られ、地上30メートルの空中で、朝から晩までコンピュータとにらめっこの都会生活。
ときどき、あの穏やかな景色と、その巷で発生するオモロいエピソードたちを思い出しては、会いたくなります。
(なんだか恋文みたいになってしまった)
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(6)より
第六弾 宮崎県串間弁
翻訳:のりちゃん
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植えちょっとは稲やカラムシで蚕も飼っちょっど。絹と綿を作っちょっちゃわ。そこん所は牛や馬、トラ、ヒョウ、ヒツジ、カササギはおらんげな。
(稲やカラムシを植え、桑の蚕の糸を紡ぎ、絹と綿を作り出す。その地には牛や馬、トラ、ヒョウ、ヒツジ、カササギはいない。)
兵は矛や盾や木ん弓を使っちょったよ。
木ん弓は下ん方がみじけくて上ん方がなげど。矢は竹ん矢か鉄鏃か骨鏃を使っちょうよ。
(兵は矛や盾、木の弓を用いる。
木弓は下が短く上が長い。竹の矢あるいは鉄鏃、あるいは骨鏃である。)
あるもんとないもん比べたら儋耳・朱崖(海南島)とおんなしやど。
倭はぬきーかい、冬も夏も生ん野菜を食べちょって、みんな裸足やったっちゃが。
(あるもの、ないものを比べると、儋耳・朱崖(海南島)と同じである。
倭の地は温暖で、冬も夏も生野菜を食べて、みなはだしで歩く。)
住んじょる所は屋根がついちょってみんな別々の部屋で寝っちゃど。
朱や丹で身体を塗っちょっとがおげん国と一緒やが。
ものを食ぶっときは高坏をつこて手で食ぶっちゃが。
(屋根のついた建物を持ち、父母兄弟は寝室を別にしている。
朱や丹といった顔料でその身体を塗っていて、まるで中国でおしろいを用いるのと同じだ。
飲食には高坏を使い、手で食べる。)
け死んだ時は、がんおけはあっちゃけど囲いはねぇかい、土を被すっとよ。
け死んだ後も10数日はじだんいけんでほっちょくっちゃけど、そん時は肉は食べんじ、喪主はてげでけー声で泣いておらぶっちゃが。
他ん人は、飲んかたよ。
がんおけをいけたら家んもん全員で身体を洗うとが、おげん国ん練沐と似ちょっちゃが。
(死にあたっては、棺はあるが棺の囲いはなく、土で覆った冢(墓)を作る。
死後はじめの10数日は、もがりの期間があり、その時は肉を食べず、喪主は大声で泣き叫ぶ。
他の人は、歌って踊って酒を飲む。
葬ったら、家を挙げて水中で身を洗い清め、中国における練沐のようである。)
つづく
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高校時代は弓道、大学時代は合気道を嗜み、鋼の筋肉コーティングなのりちゃん。
謙遜の権化のようになんでも遠慮する、奈良女で出会った中でもなかなかの個性派です。
そしてこの翻訳企画の中でも、かなり個性の強烈な言語で仕上がりました!あっぱれ!
全然分からなかったので、今回は標準語訳を付けました。
存分に串間の言葉に浸ってくださいませ。
(2018年1月27日)
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(5)より
第五弾 甲州弁
翻訳:しぉじぃ
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男しはでっけのも小せえのも、みんな顔や身体に入れ墨をしてるだよ。
むかしっから、その使者は中国に朝見しにきてたんだけんどね、みんな自分のことを大夫と名乗ったさ。
中国最古の王朝の夏后(かこう)の、中興の祖っていう少康の子がさ、会稽郡に領土を与えられて派遣されたんだけんども、自分で髪を切って身体に入れ墨をしてね、ワニやサメみたいな危険な動物に噛まれないようにしたっちゅーよ?
今はね、倭の素潜りする人らも、好んで潜水して魚や貝を捕まえているけんど、入れ墨でもって大きな魚や海獣を除けていて、そのうちに飾りになってるさ。
諸国の入れ墨はそれぞれ違いがありってね、左にあったり右にあったり、大きかったり小さかったり、尊卑の差があるさ。
地理的には、ちょうど会稽郡の東治の東にあるさね。
その風俗はいやらしくないさ。
男しはみなまげをあらわにしてさ、木綿のリボンでまとめているだよ。
その服装は、身ごろをただ結束して連ねただけでね、ほとんど縫うところはないさね。
女しはまげをまげて、服は単被(たんぴ)のようにしてね、その中央に穴を開けて頭を通して着てるだよ。
つづく
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しぉじぃとの在学中の思い出といえばパンの先生とデヴィ夫人の小料理屋に行ったことくらいでしょうか。パンの先生は藤岡弘、似で杖をついた考古学の先生で、プレハブ小屋で英語講読の授業のたびに、色々なパン屋さんのパンを学生に配ってくれていました。西大寺のお店に学生達を呼んでご馳走してくれたことも。そこでちょろっとおしゃべりした程度だったかと思いますが、卒業してからしぉじぃにはずんぶん世話になっています。お料理上手でいつも美味しいものとともにあるしぉじぃ。ささやかながら彼女を見習い、ホットケーキを焼いてみました、霜月のよる。
(2017年11月26日)
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(4)より
「次に斯馬国があって、
次に已百支国があって、
次に伊邪国があって、
次に都支国があって、
次に弥奴国があって、
次に好古都国があって、
次に不呼国があって、
次に姐奴国があって、
次に対蘇国があって、
次に蘇奴国があって、
次に呼邑国があって、
次に華奴蘇奴国があって、
次に鬼国があって、
次に為吾国があって、
次に鬼奴国があって、
次に邪馬国があって、
次に躬臣国があって、
次に巴利国があって、
次に支惟国があって、
次に烏奴国があって、
次に奴国があるのさ。
それでこれが女王の境界のめいっぱいのところなのね。
その南には狗奴国があって、男子を王にしているんだって。
その役人に狗古智卑狗(くこちひく)があって、女王には属していないのさ。
(帯方)郡から女王国に至るまではざっと1万2000里くらいだね」
つづく
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第四弾 札幌弁
翻訳:あさき かい
どなたかに翻訳をするには忍びないパートでしたので、生まれも育ちも札幌のわたくしの話し言葉で訳しました。(何の変哲もない標準語よりの、つまらない言葉ですなあ。)さて通訳の通じるところが30ヶ所あるという倭の国々。邪馬台国在住の女王が統べる女王国と思われる国々がちょうど30個。各国にどんなエピソードがあるのだろうかと想像が膨らみます。すごろくが完成したらみんなで遊びましょう!
(2017年11月19日)
卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(3)より
「東南にある奴国まで行くんは、100里かかるわ。いっちゃんエライ役人は兕馬觚(しまこ)ゆうて、次にエライんは卑奴母離(ひのもり)ってゆうヤツや。
そこは2万戸くらいあんねん。
東に進んで、不弥国まで行くゆうたら、100里はかかるで。
そこのお偉いさんは多模(たも)ゆうて、次は卑奴母離…さっきとおんなじ名前やけど、ちゃう人やで。
国の大きさは1000家くらいかな。
そんで南に20日間、船で行くと、投馬国(とうまこく)に着くんや。
投馬国の一番の役人は弥弥(みみ)ゆう人で、二番手は弥弥那利(みみなり)っちゅー名前や。
50000戸くらいはあるんちゃうか?
そっから南にあるんが、邪馬壱国…いわゆる邪馬台国や。
そこは女王様が治めとる都でな、船で行くには10日間、歩いて行くんやったら一月はかかるわ。
…え?馬を使うたら、どれくらいやって? さぁ…どんくらいやろな。馬で一月やったかな? まぁ細かい事は気にせんといてや。
そこの一番エライ役人に伊支馬(いしま)っちゅーやつがおって、その次が弥馬升(みましょう)、次が弥馬獲支(みまかくし)、次が奴佳鞮(のかてい)や。
70000戸くらいあるゆうから、えらい規模やで。
その女王様の国から北がなぁ…、戸数やら道のりは、だいたい記録することができたんやけど、その他の周りの国は遠くて行けへんくて、詳しく説明できへんねや。」
つづく
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第三弾 自称エセ関西弁(大阪寄りの京都府産)
翻訳:いーくー女史
大学に入ってすぐの頃、北海道出身のいーくー母に梅雨の乗り切り方とゴキの対処法を習いました。
おかげさまで家ではゴキはお目にかからず4年間を過ごしましたが、新幹線開通でより速く、新鮮な、ゴキが道内に上陸してしまう時代。いつかあの日の知恵が札幌で役立つかも知れません。
さて、「投馬国から南下したら邪馬台国があるんだから、女王国から北上したら投馬国に戻るんじゃないの」と女史からの翻訳には鋭い質問が添えられていました。
邪馬台国(邪馬壱国)=女王国とは必ずしも言えないのではないかという説があり、投馬国や邪馬台国やその他国々をまとめて女王が統べる連合国というあり方を考えるものもあります。
…そう簡単には説明できへんねや。
(2017年11月12日)