卑弥呼さんが「魏志倭人伝」に「いいね!」しました(1)より
出張から帰ってくるなり、居間にも立ち寄らず直ぐにお風呂に入ってしまった。
玄関には潮風に当たって色あせたバッグと、お土産らしき袋が無造作に置かれたままである。
髪をだいたい乾かしたあたりで、もう我慢ならんとばかり、冷蔵庫で冷やしてあったビールをあけて、ぐいっと一杯。
彼女はこの度の長旅について語りはじめた。
山だらけの島に国やら村やらを作ってはんねん。昔は100くらいの国があったらしいわ。
漢の時代には公式に訪問しはった人もおったらしいで。今は通訳通じるところが30ヶ国あんのかな。
郡から倭に行くんやったら、海岸に沿うて海を移動して、こうびゅーーっと韓国通るやろ。
ほんで南とか東とかにばーーーっと行くと、その北岸らへんの狗邪韓国に、7,000里くらいで着くわ。
ほんで海いっこ渡って1,000里くらいびゃっと行ったら、対海国やな。
そこのいっちゃん偉い役人さんは卑狗ってゆうて、二番目の役人さんが卑奴母離ってゆうねんて。
いてはるところは離れ島で、400里四方くらいどーんと広いんやて。
土地は山がめっちゃ険しいのと深い林がめっちゃ多いんやって。
道路は小動物とかシカとかが通る感じの小道になっとんねん。
ええ田畑はあんましなくて、海のもん食べて自活してはんねんな。
船乗って南北に売ったり買ったりしに行きはるわ。」
つづく
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第一弾 摂津弁
翻訳:まっさん
早いもので邪馬台国シリーズからひと月も経っていました。
最後に私がやりたかったこと、それは三国志の魏書の烏丸鮮卑東夷伝の倭人の条、いわゆる「魏志倭人伝」の現代語訳です。
なるべく古代史に詳しくない人にも分かりやすく、面白く、身近に感じてほしいという想いで、各地の言葉、方言での翻訳をすることにしました。
2000文字の漢文ですので、14回くらいのシリーズになる見込みです。
まず第一弾は古代ゼミのみなさん推薦、生粋の大阪人まっさんに翻訳して頂きました。
感謝!拍手!勢いがあって素敵です!
(2017年10月6日)